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──《汝は神を信じるか》
焦り始めたところで。
声が問う。
天国(の出前)とは違う声。
が、しかし。
天国(の手前)と同じ問い。
? ここは地獄(の手前)なんだよね?
なら、悪魔を信じるか、になるんじゃないのか?
──《汝は神を信じるか》
重ねて問われる。
うん? これもまた答えなくてはいけないものなのか。
天国(の手前)で一度答えているせいか、なんとなく面倒臭く感じる。
先ほど答えたのだし、いいのではないかと。
あぁ、でも。
天国(の手前)の時のように何らかの展開があるのだろうか。
それならそれで好都合なのだけれど。
──《汝は神を信じるか》
考えているうちに三度目の問いが掛かる。
私は答える。
「半信半疑だ」
──《上がれ。汝が来る場所ではない》
声がいい終えると、私の体が浮き始めた。
足の裏に感じていた立っているという感覚が消える。いま体にあるのは浮遊感。
無重力ってこんな感じなのかな。
なんて呑気に考えていた直後。
ぐんっ! と全身で感じるほど上昇速度が上がり、そのあまりの速さに、私は意識を飛ばした。
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