ステップ21 約束の指輪

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お店の一角にあるテーブルスペースに通されると、二人で促されるまま席に着いた。 店員さんは私たちが座るのを見届けると、新しいものをお持ちしますと言って去っていく。 「香取さん! あれは……」 「その質問には答えないよ」 「な、なんでわかるんですか!」 「だってゆりちゃん、そればっかり気にしてる。値段なんか気にしないで、ただ喜んでくれた方が俺は嬉しいんだよ?」 そう言われちゃうと、なにも言えない。 「さっきの、可愛かったでしょ? ゆりちゃん、気に入った顔してた」 彼の嬉しそうな笑顔になにも言えなくなって素直に頷くと、彼は更に微笑みを深くして私の頭を撫でた。 そこに店員さんが戻ってくる。 「この度はありがとうございます。お求めのものは、こちらでよろしいでしょうか?」 「はい」 「包装致しますか?」 「いや、このまま着けていきます」 「かしこまりました。それでは、準備して参ります。お支払は、いかが致しますか?」 「一括でお願いします」 そう言いながら香取さんがカードを差し出した。 「かしこまりました。では」 その時、店員さんが見せた金額が書いてあるタグに目を見張る。 一、十、百、千……ちょっと待って! 誕生日にもらう桁じゃない! 「お願いします」 「かしこまりました。もう少々お待ちくださいませ」 店員さんが優雅に去っていく。 ああ、さすが身のこなしが素敵。 なんて見惚れてしまうけれど、今はそれより大事なことが……
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