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九月二日(月)
九月に入ってもまだ、建物の外は熱帯かと思うほどに暑い。
湿気と熱が体にまとわりつく。
半袖のブラウスに夏用に買ったライトグレーのスーツを身に纏い、いざ、本配属式が行われる池袋のホテルへ。
そこに向かう軽いようで重いような足取りは、期待と不安が混ざった私の心を表しているみたい。
私たちは、どこの課に配属されるかを知らない。
営業か、現場かさえも。
本音を言えば不安が大きいけど、そんなことを顔に出すような雰囲気でもない。
だって、ほら。
ホテルの会場に入れば、ステージ横にはずらりと並ぶ役員たち。
その圧でどこか会場は息苦しい。
一人ひとり、名前と配属先を読み上げられ、壇上に上がり役員の白鳥さんから辞令を受けとる。
その光景を見つめながら、社員番号順に座らされた席で自分の配属発表を待っていた。
次々と呼ばれていく同期たち。
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