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「コストのご説明は以上です。イニシャルコストに関して、少し高額かと思われるかもしれませんが、こちらがランニング、イニシャルを含めた年間のコスト資料です」
化粧品業界トップのカネスエ本社ビル、１５階の応接室。
このビルに来たのは、秋の風が心地よく吹く今日が二度目になる。
「６カ月目以降から、現在と比較して１５％削減できる仕組みとなっています。年間にしますと、１年目は７％の削減、２年目は１５％削減することが可能です」
テーブルを挟んだその先、決裁権を持つ部長を含めた３人の男性が手に持ったり、テーブルに置いたままペンでそれを指したりしながら一枚の紙を見つめている。
見積もりと自分で作成した年間コスト表についての説明が終われば、次のページは品質維持のための資料。
「品質を落とさないために、業務の効率化、マニュアル化を行い、一定のレベルまで誰もが行えるように致します。こちらは……」
手も声も少しだけ震えながらスタートした今日の訪問。
先方も緊張を察してくれているのだろう。
和らげるように何度も声や動作で相槌を打ってくれている。
そして、なにより両端の２人から発せられる緊張感がすごい。
とても心配そうに私を見守ってくれているのがよくわかる。
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