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「はい! わかりました」
「一緒に行くんだけど……おい! 城木!」
上野さんが呼んだその名前に一気に喜びが溢れ出す。
上野さんの視線を追いかけて振り返れば、そこには見るだけで私に安心感を与えてくれる人。
「挨拶、終わりました?」
「先輩!」
「よぉ」
先輩が社会人になってからも何度も会っていたから、もう見慣れたスーツ姿。
「あれ、知り合いなの?」
私たちのやりとりを不思議に思ったのか、上野さんが大きな目をさらに丸くして問いかける。
薄茶の瞳がさらに光をとりこんで、透けて見える。
「大学の後輩なんですよ。サークルが一緒で」
「私、豪さんを追いかけて来たんです! 本当に尊敬してて大好きなんです!」
「お前はまた、そうやって……」
「本当のことですよ」
「はいはい、わかってるよ」
「豪さんはどうして? あ、まさか私を迎えに?」
「バカ。本当にバカ。どうしてお前の頭はそう幸せなんだ」
「先輩がいて幸せですから!」
「……俺は課長の代わりに」
「あ、無視しましたね」
「どうしても外せないアポがあったから、川島くんのお迎え」
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