第1章 今井沙織

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第1章 今井沙織

 机上の電灯だけが小さな部屋を照らしている。部屋の中に電灯が無い訳では無い。  ただ、ここ数日に書き込まれるブログのコメントを対処しようと、必死になっているうちに電気の明かりを必要としなかった。それ以上に、自分の感情に反発しているようで、つい明かりを消して書き込みに集中するようになっていた。  今日もまた、匿名の書き込みが書かれていた 『今日は数百件・・・』  画面に表示されているコメント数を見て、沙織はこの状態にウンザリして来ていた。  こんな状態が起こったのは、数日前の事件からだ。通っている高校で飛び降り自殺があり、その飛び降りた学生は同じ学年の女子で、死んだ彼女の手の中には沙織の名前も書かれていたメモが握られていた。  飛び降りた彼女が何故、自分の名前を書いたメモを握っていたのか?  それには一つの心当たりがある。毎日毎日、沙織は彼女のブログのコメント欄に嫌がらせのコメントを記入していた。しかし、それだけでメモに名前を書き記して飛び降りるなんて、滑稽で勝手過ぎると沙織は思っている。沙織はそんな事をされて迷惑だと感じていた。     
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