続く変事と、甦った畠山六郎重保

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青年はなんとか刀にすがって体を起こしたものの、咳が止まらず苦しそうだ。 その情けない姿と切羽詰まった状況に苛立ちが最高潮に達した仁那は、「最っ悪」と吐き捨て、ポールを凛太郎に押し付けた。 「何が、ついてこい、だ!」 青年の手から日本刀をひったくる。 思ったよりも重くない。 これでいける。そう踏んだ仁那は青年の前に立ちはだかった。 「な、何をする。それ、ゴホゴホッ、は、俺が父、上から預かった大事、ゲホッな、刀だぞ、おなごが、触っていいものじゃないゴホッ」 青年は怒りか苦しさか分からぬ真っ赤な顔で荒い息をつきながら、刀を取り返そうとした。 「うっさい!」 仁那は苛立ちを隠しもせずに、近づいてきたバケモノに対して夢中で刀を突き出した。 人の姿をしたバケモノの体に、まるで吸い込まれるように刀身が滑り込み。 一瞬にして霧散した。 ポールで薙ぎ払った時とはまったく違う感触に、仁那があっけにとられたように刀を見て、それから青年を振り返った。 咳をなんとか宥めつつある青年は仁那と目を合わせずに乱暴に言った。 「それは、我が、畠山家、に代々伝わる刀、秩父がかう平。そこらの、刀とは、ゲホッ一緒にできぬ。切れ味がまったく違っていよう」     
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