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続く変事と、甦った畠山六郎重保
「だっせ。波にまかれんてんの」
ぎゃはははと、あけっぴろげな笑いが午後も遅い鎌倉は由比ヶ浜の砂浜に響いた。
周りの海水浴客が驚いたように笑い声の発信者に顔を向けた。
花も恥じらうはずの女子高生、押見仁那は、惜しげもなくターコイズブルーの水着姿をビニルシートの上にさらして笑い転げている。
ほどよく日焼けした肢体は見事なプロポーションで、その胸はつい凝視するほどに育っている。
「そ、そんなに笑わなくたっていいじゃないの」
甲高く弱々しい声に、仁那は茶髪を払いあげながら相手を見上げた。
正面には、幼い頃から腐れ縁で続く幼馴染の吉田凛太郎が立っている。が、着ている薄手のパーカーはもとより、頭からずぶ濡れで華奢な体を震わせている。
仁那はその貧相な姿に、また笑い始めた。
「もうっ、仁那ちゃん!」
シートの上で笑い転げる仁那に凛太郎は地団駄を踏むようにした。
大波に巻かれて溺れ、息も絶え絶えに砂浜にあがって仁那のいる所にたどり着いたと思いきや、待っていたのは仁那のバカ笑いだ。
「マジ、ナヨタローすぎ」
「その呼び方やめてよもー」
凛太郎は女の子のように優しい顔を、今は真っ赤にして険しくさせた。
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