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「いっぱい買ったね」
「そうだね」
近くの公園で、ちょっと休憩、またあのスーパーで働くのはつらいものがあるな。
手にしたチラシは、パートアルバイトの募集広告。
何も考えずに、彼とお父さんが幸せに過ごせるなら、私はその手伝いをすればいいなんて簡単に思っていた、でも、真ちゃんにとって、お兄ちゃんたちがそばにいつことが幸せなら、私なんかいなくてもいいし。
ママ―と声がした、ふと顔をあげたとき、あの女性が目に入った。
「よしたか君、だめよ、飛び出したら危ないでしょ」
ごめんなさいという男の子、よしたか?はは、彼に似てる。
ボールが足元に転がってきて、真ちゃんがそれを取ると、その男の子が取りに来た。
「はい」
「ありがとう」
走っていく、彼女は軽く頭を下げた。
「ナーちゃん、ブランコ」
「乗る?」
「うん」
走っていった。
男の子も隣に座った。
ごくりとのどが鳴る。
「恐れ入ります、よしたか君とおしゃるんですか?」
ええと不思議そうな顔。
「ぶしつけですが、よしとは、人偏に土が二つですか?」
「ええ、そうですけど」
「そうですか、家は、真一で、ありふれた名前になってしまって」
「あらいいんじゃありませんか?」
そこで会話は終わった、胸が痛くて、真ちゃんの手を取り走り出していた。
ただいま。
「真、あ、いた、どうしたんだ?真っ暗で」
「おーちゃん、お帰り、ナーちゃんね、ポンポン痛いんだって」
ガラッと部屋の戸が開いた。
「泣くくらい痛いのか、病院は、痛み止めのんだ?」
「おーちゃん、大丈夫、ちょっと頭も痛くて、寝てればいいから、あー、こんな時間、すぐに晩御飯」
「いいから、寝てろ、馬鹿兄貴、こんな時に何して」
私は彼のズボンを引っ張った。
「もういいの、ごめんね、私も出て行くし」
「はあ?何言ってんだよ、とにかく寝とけ、いいな」
このとき彼は母親の事を思い出したそうだ、悪いことしちゃったな。
「えーとね、お風呂屋さんをずーといって、広ーい、大きなお店に言ってね、ウリと、モモのえさと、お布団かって、近くの公園でアイス食べて、ブランコに乗った!」
「それだけか?」
「うん・・・」
「誰かとお話しなかったか?」
「あー、女の人、男の子連れてた」
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