67人が本棚に入れています
本棚に追加
二週間後、カギを開けようとして、背中にふと感じた人の気配に振り向いた。
にた―ッと笑う彼、野田さん。
負けた、家の中には入れない、外で話をしましょうと階段を降り始めようとした。
そこでばったり会った副店長。
「え、あ?」
「何でもないから、はあ、なに?用事?」
明日休みだから宅のみしようと思って。
「飲めないのわかってて持ってきたのか?」
「ノンアル」
暑いしという、真夏、でも、もういい!
「もう!」
なんか変なの、見知らぬ人と、お断りした人を部屋の中に入れるなんて。
何もない部屋を見回す二人、小さな折り畳みテーブルに、冷たいお茶をグラスに入れ置いた。
「まずは、野田さん、私の何が聞きたいんでしょうか、過去ですか?それを聞いてあなたが納得されたいのなら、いとこさんの話だけ聞いて納得なさればいかがですか、私はもう関係ないので」
「あー、そうなのか、納得ねー」
「わかっていただけましたか、どうぞお帰りください」
「帰れ」
副店長のにらむような顔。
「彼氏さん?お店の人だよね」
「違います、上司です若いけど、副店長もお帰りください、私といてもいいことないですから」
「どうしてですか?」
あ、そうか。
「お付き合いしているのも帰ってくるし」
「え?そんな人いたんですか?ずっと見張っていたけどいませんよね、あ、あの若い子、工事現場の子ですか?」
まったくこの人は言わなくてもいいことを
「ウソですか?」
「ハー、そうです、ウソついてました、ごめんなさい、でもデートはできません、それにこういうのも困るんです、おかえりください」
背中がつりそう、いや、つった、いたくて背中をさすった。
「どうして」
「あのですね、いいですか?」
副店長に、お付き合いするということは、それ以上に発展を考えているということになる、私は、病気を抱えていて、そんなのに使う能力はない、休みの日は、病院で一日消えるし、寝ていたい。
「だからわかってください、帰ってください、体が悲鳴を上げてるんです」
「ご、ごめん、でも」
「でもじゃない、ゴメン、仕事辞めたくないんだ、やっと見つけたんだ、お願いします、野田さんもお帰りください、これ以上は本当に困りますから」
「一つだけ、病気は何?」
最初のコメントを投稿しよう!