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一歩間違えれば、私もその仲間入りをしていたのかもしれない。
一人で死にたくない、だから道ずれ、大好きだった人を連れて行こうと思ってしまった。でも我に返ったのは、目の前にいた人が目をそらした先にいたのが、まるで勝ち誇ったかのような笑いを浮かべた女だったからかもしれない。
ああ、私は、女ではなくなるんだ。
麻酔が効いてきた、周りの音が聞こえない。
握っていた母の手が離れた。
このまま死んでしまえばどれだけ楽なのか…
大人になってもいい事なんかないと知ったのは恋を知った十九の時。
容姿はそんなに良くない。
きれいでもなければ、美人といわれる要素なんかこれっぽっちもない。
ただ、胸が大きくて、男はそれに食いつきたいと思って、近づいてきた。
恋じゃなかった、体をもてあそばれただけ。
そんなのも知らない、青臭い、うぶな女だった。
失恋した二十歳。
その時知った、セックスだけしていれば男は満足なんだと。
新しい恋を知った二十一歳。
コンドームをつけなかった彼は何かに期待していた。
その時知った、私は子供ができにくいんだと、それだけでやり過ごした、だってセックスは好きだったんだもん。
「俺は君と一緒には、なれない」
結婚?いや、彼は子供が欲しかったのだろう、だからそれに期待した。
でも私はそうじゃなかった。
だからもう一人と付き合っていた、二股といわれようがビッチと言われようが関係なかった、楽しかったから。
私から誘ったことは一度だけ、この彼だけだ。でもそこには彼女の存在があった。奪ってやろうとかそういうのじゃない、ただ何となく、フィーリングがあった?そんな感じだ。彼女に泣きながら言われた、彼を取らないでと、そういうのじゃないんだけどなー。
そのときはセフレ、なんて言葉はまだなかったような気がする。
遊ぶのが楽しかった、酒を飲んで、たばこをふかして、ただしゃべって笑って、その彼と、友人とセックス抜きのそんな関係、それさえ、彼女に邪魔された、邪魔したのは私の方か。子供を望んだのはその彼、あー私の事好きでいてくれたんだと思った、だから、やめた、遊びをやめた、元カレも職場にいたし。
でもなー。
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