レクイデーション

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 その日のうちに子供を連れた妻は出て行った。  俺は相変わらず仕事を再開していた。 「もうあれから五年が経ったのか」  IT事業部は成功に成功を重ね、かなり安定するようになっていた。  この五年間はかなり忙しかったが、時が進むにつれて時間は短縮することができた。  そんな安定期だからなのか、プライベートの連絡もおざなりになっていたことを取り戻そうと思い、旧友などと積極的に連絡を取るようになっていた。  今日も連絡を取ろうと思っていた矢先にあるメールが届いた。  お久しぶりです。友定です。  加奈子――元妻の名前だ――が倒れた。○○病院のA室に入院しているからもし良かったら会いに行ってくれませんか?  メールの送信先は結婚式の時に、連絡先を交換しただけの元妻の友達であった。  電話番号も奇跡的に登録していたのですぐさま電話をかけるとワンコールでつながった。 「もしもし、川崎ですが」 「お久しぶりです。友定です。この度は急にメールを送ってしまい申し訳ありません」 「いえ、お気になさらず。それよりもメールの件なんですが」 「はい、加奈子が過労でどうも入院したとのことらしく、もし気になさらないのであれば病院に行ってあげてくれませんか?」     
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