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「――――こ、これはいったい……!?」
書店の老主人は、今はもう営業していない店の前で慌てふためいていた。
シャッターを指さしている。その指が震えている。
わたしが描いた絵の中の鳥籠には、一匹のセキセイインコが収まっていた。もちろん生きた本物ではない。絵だ。そして、開け放たれていた扉は閉じていた。
「……あ、あのインコだ。そのものだ。模様まで。お嬢さん、あのインコを知っていたのかい!?」
「そんなわけないだろ」
「じゃあこれは!?」
「帰りたかったから帰ってきたんだよ。おそらく、例のご婦人の家では籠の扉を閉じているんじゃないかな。だから、帰れなかった」
絵の中の、幸せそうに目を細めたインコから目をそらさないままにそう答える。隣から、弱々しい声が返ってきた。
「……帰りたかった?」
「死んだことはしょうがないと思ってるんだ。あんたのことを責めちゃいない。ただ主人のそばに、この世界に留まっていたかったのさ」
「では、あのときの妖気は」
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