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無理だよ。くちびるから、ごぼごぼと血液が流れ出してもう喉は滅茶苦茶だ。全身が痺れて、裏返ってしまいそう。 『アゲハ! 僕をあなたなしの世界で生きさせるつもりか?』 「ライ…」 『僕を探しに来い。約束の場所へ』 「ライヤ!」  声が、はっきりと出た。生まれて初めて、こんなに大きな声を出した。見開いた目に、いちどきに光が、飛び込んで来る。見たこともない色彩の嵐が来る。  激しい痛みが身体を本当に引き裂いた。私の心臓に翼がはえる。背中を突き破り、大きく羽ばたいて、夜明けの空へ。
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