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[『Vie(ヴィ)』p.4]  それは、私の歌だった。彼だけの歌でありながら、私だけの歌。私の過去で未来で現在。今までの私とはまったく別ものの、でもこれは私が以前からずーっと知っている。私の歌だ、と思って涙が流れた。  強い大気の流れが、私の背中に長くもつれた髪を靡かせる。 「カゼ・・・」 「そうこれが風」  彼が右手を空高く上げる。指先に、ヒュルと戯れて行く熱風の動きが、目に見えるような気がした。 「生きとし生けるものすべての運命を運ぶ。時に目に見えぬ壁となり、時に全てを壊す嵐となる。そして僕とあなたをここに二人立たせた」 「私は、あまりにもたくさんの事を知らなすぎる・・・。自分が情けなくて怖くて不安だわ」
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