花火

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少し先にある歩道橋まで歩いていく。 「ねー、階段辛い。足痛い。」 履きなれない靴と酔いで階段の真ん中で立ち止まる。 「お前運動不足が過ぎるだろう、仕事もいいけどたまには運動しろよ。」 「えー、だって面倒くさいもん。」 「面倒がってばっかだからこんな階段でへばんだよ。ん。」 そう言って持っていた缶ビールを持ち替えて左手を私の目の前に差し出した。 顔を見ても表情に特に変わりはない。 その手を右手で取ると少し引っ張られるようにして階段を上っていく。 上まで上りきると自然と手が離れる。 やっと掴んだと思ったのにまた離れていく左手を視界に入れながら、アキの後ろをついて行く。 立ち止まって、歩いて来た並木道の上の空を見あげる視線の先に、自分も顔を向ける。 ビルとビルの隙間に辛うじて小さな花火が見えた。
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