花火

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花火

遠くで花火の音が聞こえる。 時折空の向こうの方が明るくなったりしているけど、ここからは見えない。 振り返って背伸びしても、見えそうで見えない。 数十センチ先にアキがいて手を伸ばせは触れられる距離にいるのに、私はその手を伸ばせずにいた。 何とは無しに2人で缶ビール片手に歩いてフラフラして、帰りたいようなまだ夜風に当たっていたいような、色んなものがどっちつかずで手つかずのまま、ただ2人でのそのそと他愛もない話をしながら足と口だけを動かしていた。 サッカーがどうだとか、最近見た小説の主人公がどうだとか、適当に相槌を打ちながらこれからどうするべきかアルコールでフワフワとした頭で考えていた。 2人の関係が更に密なものになるには遅すぎるような、まだそのタイミングではないような、行くことも戻る事も出来ないままただぐるぐると同じ道を一人で回っているような気がしていた。
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