Chapter 1 最初で最後の願い

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すると男の人は諦めたのか『はぁ…』とため息を吐く、両頬を掴んでいた手を離し 「ここまでされて喋んないのにも訳があんだろ…はぁ…たくっめんどくせぇなぁ…」 理解してくれたのかそう言い僕の頭を撫でてくれた、そして『悪かった、引っ張ったりして』と、少し照れくさそうに言ってくれた 僕は今まで優しさというものを感じたことがない、だからなのかこの男の人に優しくしてもらったぐらいで涙がまた出てきそうになった、でも僕は男、女々しくするのはみっともないと思い我慢する、でもその時の頭を撫でてくれた手の感触はずっと覚えているだろうと思った 「で、話があるんだが…試験のことについてだ…」 そこで僕ははっとした、今まですっかり忘れていたが今日はこの高校の受験日、しかし時計を見るともうその時間はとっくの昔に過ぎていた、僕は絶望した、この数ヶ月、辛い思いしても毎日欠かさず勉強した、それなのに試験さえ受けられないなんて…初めて希望が見えたのに、自分のせいだと思っても小さな希望を潰されたことへの怒りはでかかった 「おいおい、そんな顔するなよ…全く、話は最後まで終わってないんだからそれを聞いてから絶望するなりしてくれ、」 男の人は僕にそう言うがとても聞く気になれなかった、今日は人生をかけていると言っても過言ではなかったからだでも男の人は勝手に話始め 「実は、理事長のきまぐ…ゴホンゴホン…慈悲により特別にお前に機会を与えてくださった、このあとこの時間に理事長室に来て欲しいとのことだ」
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