Chapter 1 最初で最後の願い

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「…すごい礼儀正しい奴だな…今時の高校生はもっと悪態ついてるのに…ご両親の教育がいいんだな」 きっと斎藤先生は本心から言ってくれたのだろう…でも僕には言葉は恐怖でしかなかった、両親、教育、その言葉を聞くだけで過去のことが鮮明に蘇る、迷惑をかけてはいけないと自分に言い聞かせるが震えが止まらない、すると異変を察したのか斎藤先生が 「…おいっ!大丈夫か?…顔真っ青だぞ!それにこんなに震えて…体調が悪いのか?見せてみろ!」 僕が今正常に受け答えできる状態ではないのを察した斎藤先生はすぐに状況判断し冷静に対処し始めた 「やばいこのままだと発作が起こる!」 あまりにも気が動転したのか過呼吸が通常よりもひどくこのままだと発作を起こし死ぬかもしれないと悟った斎藤先生は成井をベットに押し倒しその上にまたがった 「ここまで酷いとペーパーバック法(紙袋などに口・鼻をあてて、吐いた空気を再度吸い込み、安定した呼吸に戻す方法)は危険すぎる…となると」 すると成井の頭を持ち斎藤先生が呼びかける 「大丈夫だ!一度落ち着け!俺の顔をよく見てみろ!」 成井はうっすらと目を開け斎藤先生の顔を見る近すぎず遠すぎずいい距離感を保ちながら斎藤先生が 「いいか!俺がついてるから安心して俺に任せろ!まずはゆっくり吐くんだ息を吐くんだぞ、いいな!フゥーって吐くんだ」 必死ながらも相手を落ち着かせるように優しく言う、すると成井も理解したのかようやく息を吐き出した 「フゥーー」 「よし!少し吸ってそして吐くんだそれを少しずつ繰り返してみろ、俺がついてるから絶対大丈夫だ」 伊達に保険医はやってないのかしっかりと励まし、正しい対処法でやるそれを繰り返すこと3分後成井は少しずつ落ち着き朦朧とした意識も少しずつ回復してきた
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