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まるで、悟空を隠すように。
俺から遠ざけるかのように…。
血の気が、引いた。
「悟空!!」
姿が見えない悟空に声を張り上げ名前を呼ぶ。
そして後ろから抱き込んだ。
捕まえて逃がさないように。
俺から離れていかないように。
「っ!?さんぞー!?」
悟空が俺に気付いた途端、風が止んだ。
今のはなんだったんだ…?
「ど、どうしたんだ?さんぞー;;」
「…っいや…もう日が暮れる。帰るぞ」
悟空の手を引き歩き出そうとする俺。
それに制止をかけられた。
「あっ、ちょっと待ってさんぞー!!
じゃあまた明日な!」
悟空は木々に手を触れ囁いた。
それに答えるように木々もさざめく。
風は優しく俺たちを包むように吹いている。
俺は一度だけ振り返り、心の中で呟いた。
―渡さねぇよ、誰にも、何であろうと、な。
宣戦布告をしよう。
誰にも渡さないと。
例えそれが万物に値しようとも。
決して離さないと。
+END+
若干甘め?三蔵様は自然に悟空を盗られそうで嫉妬しているのですw
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