さびしん病

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それはもう大騒ぎ。 クラス中は「あの噂」で持ちきりだった。 「タケルくんが病気になったって」 「それって“あの病気”って噂だよ」 「怖いね。タケルくんはもう駄目だね」 クラスのみんなが口々に噂をしていた。 みんなが真相を知らず、憶測の言葉を並べている。 このままではいけない。 こういう事態こそ、ぼくがシッカリしないと。 「みなさん、静かにしましょう」 ぼくはキッパリと発言した。 ところがクラスのお喋りは止まらない。 むしろ晩夏のセミみたいにうるさくなった。 ぼくは途方に暮れる。 「はい、委員長が静かにしてと発言しました。だ・か・ら、静かにしてちょうだい!」 アイリちゃんが叫んだ。 クラスの喧噪(けんそう)がピタリと止む。それは見事なほどだ。 なんとも心強いパートナー。さすがは副委員長だ。 「委員の書記長からも提言します。根拠のない噂に惑わされないように」 クニヒロくんも発言する。 クラス中の戸惑いが凪いだように引いていく。
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