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さすがは書記長だ。理論派の彼の言葉は頼もしい。
「2人とも、ありがとう」
「マモルくんは優しすぎるのよ」
「それでも責任感が強いから、きみに従うのは当然です」
アイリちゃんとクニヒロくんが肯いて、ぼくの心からの感謝を受けいれた。
ぼくら3人は最高のコンビ。最高の委員会メンバーだ。
「はいはい、委員会のみなさん。クラスをまとめてくれて、ありがとうね」
クオン先生が言った。
ぼくはその言葉で誇らしくなる。
先生は「大人」にありがちな、ゆっくりとした言葉だけど、このときは格別に嬉しかった。
「それでは始めましょうね」
先生が咳払いすると、それを合図に授業が開始される。
勉強は子どもの責務だから、厳粛に受けるのは当然だ。
「科学的に紙が燃え始める温度は華氏451度とされ──」
授業は粛々と流れてゆく。
ぼくは授業を聞いていると、
「マモルくん、ちょっと」
アイリちゃんが囁いてきた。
これは予想どおりだ。世話好きな彼女が「あの噂」を無視できるはずがない。
「どうしたのアイリちゃん?」
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