さびしん病

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「とぼけないでよ。マモルくんも“あの病気”が気になるでしょう」 「うん。委員長として気になるよ」 「あたしも副委員長として気遣わしいわ」 アイリちゃんの場合、気遣わしいと言うよりも、好奇心というやつが正確だろう。 「書記長としても、不安要素は黙認できませんね」 クニヒロくんも内緒話に加わる。 ぼくら委員会コンビは、お互いに息もピッタリだ。 「今度のタケルくんで5人目だね」 「これはもう噂レベルで済まないわよ」 「確かにこれは無視できない統計数字です」 いまクラスは「あの噂」で揺れていた。 クラスでひとり、またひとりと「あの病気」に感染していたからだ。 その病気とは「さびしん病」である。 ある日を境に発症し、それから姿を消してゆく。 具体的な症例は、ひとりを好むようになる。それから会話に加わらなくなり、挙句は不登校へと発展するのだ。 いつからかそれを「さびしん病」と名づけられた。 孤独を好む病状だからだろう。 「でもどうするの?」 「どうって、大人はアテにはできないわよ」 「ぼくたちだけで調査するのが賢明でしょう」
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