さびしん病

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ぼくはゴクリと唾を飲んだ。 「でも噂の真相を調査するのは、委員会の活動範疇から逸脱(いつだつ)するんじゃないの」 ぼくの懸念をまったく無視するように、アイリちゃんが決断を下す。 「決まりね。さびしん病調査委員会を発足するよ」 「では、ぼくがタケルくんの住所を調べましょう」 委員長の発言を重視しないのが、この委員会コンビの特徴だ。 こうしてぼくたち3人は、噂の「さびしん病」を調査することになった。 翌日。 タケルくんを訪ねる約束の日だ。 「あれ、アイリちゃんは?」 ぼくは尋ねると、 「それなんだけど、彼女から返事がないのです」 書記長のクニヒロくんが答えた。 「え、デジ脳チャットに応答しないの?」 「チャットもダイレクトも、まるで彼女からの発言がないんだ」 ぼくの胸に不安の染みがじわっと広がる。 デジ脳チャットとは、インターネットを介したデジタル脳通信の会話アプリのことだ。 ぼくたちの時代、学校はデジタル脳通信教育になっていて、家に居ながらにして学校教育を受けられる。
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