大嫌い

3/3
前へ
/29ページ
次へ
「さっき…翼が来てくれてお粥作ってくれた。」 「あら、そうなの?あとでお礼の電話かけなくちゃっ!一弥も治ったら翼君にお礼言うのよ?」 「うん。」 早く学校行きたいな……。そう思えたのは何年ぶりだろうか?中学の時とかは、面倒くさくて行きたくない思いが強かった…。大切な人がいるだけで…こんなにも違うんだ…。早く治そう。そう思いながら俺は自分の部屋に向かい、ベッドに寝転んだ。そして、就寝した。 次の日、目を覚まして体を起こす。昨日あんなにだるかったのに、だるくなかった。それに目眩や吐き気も少しはあるが、昨日ほど酷くなかった。よかった…。今日…学校行けるかな? 「一弥~具合はどう?」 ドアの方から母さんの声が聞こえる。 「う…うん…昨日よりは大分楽になった…。」 「そう。母さん、そろそろ仕事に行かなきゃいけないからもう行くけど、体調良さそうならご飯食べて学校行きなさいね。念の為休むなら学校に連絡するけど…」 「いや、行く。」 「分かったわ。気をつけてね。じゃあ、いってきます。」 そう言って、母さんの足音は消えていった。よし、学校行くか。俺はベッドから出て、学校に行く支度をした。 「いってきます。」 家を出て鍵を閉め、俺は学校に向かう。太陽が眩しい、雀の鳴き声、病み上がりだけどとても清々しい朝だった。何かいい事ないかな~…。と思っていると、突然後ろから誰かに肩を叩かれた。 「……っ!?」 「おはよ!一弥!びっくりした?」 振り向くと、翼がいてニコニコしていた。 「びっくりした~…驚かすなよ。」 「へへっ!歩いていたら一弥っぽい後ろ姿が見えたから、驚かすために走って突撃しちゃった!」 「俺じゃなかったらどうするつもりだったのさ。」 「んー…その時はその時で!ということで。」 「お前なぁ……」 そんな会話をして、お互い笑いながら登校した。翼と話しているとすぐに学校に着いた。そして、クラスの教室のドアを開ける。 「あっ、一弥!おはよ~!!」 真っ先に優斗が駆けつけた。 「おはよう。」 「大丈夫か!?風邪ひいたんだって!?」 「あー、うん。でも、もう大丈夫だよ。」 「そっかー!よかったぁぁぁ!」 「大袈裟。」 「だって~!心配だったんだよぉぉ!?」 「そっか。心配してくれてありがとう。」 こうして一日ぶりにみんなと話して楽しく過ごした。でも、俺はまだ知らなかった。まさか、あんなことが起きるなんて…。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加