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「さっき…翼が来てくれてお粥作ってくれた。」
「あら、そうなの?あとでお礼の電話かけなくちゃっ!一弥も治ったら翼君にお礼言うのよ?」
「うん。」
早く学校行きたいな……。そう思えたのは何年ぶりだろうか?中学の時とかは、面倒くさくて行きたくない思いが強かった…。大切な人がいるだけで…こんなにも違うんだ…。早く治そう。そう思いながら俺は自分の部屋に向かい、ベッドに寝転んだ。そして、就寝した。
次の日、目を覚まして体を起こす。昨日あんなにだるかったのに、だるくなかった。それに目眩や吐き気も少しはあるが、昨日ほど酷くなかった。よかった…。今日…学校行けるかな?
「一弥~具合はどう?」
ドアの方から母さんの声が聞こえる。
「う…うん…昨日よりは大分楽になった…。」
「そう。母さん、そろそろ仕事に行かなきゃいけないからもう行くけど、体調良さそうならご飯食べて学校行きなさいね。念の為休むなら学校に連絡するけど…」
「いや、行く。」
「分かったわ。気をつけてね。じゃあ、いってきます。」
そう言って、母さんの足音は消えていった。よし、学校行くか。俺はベッドから出て、学校に行く支度をした。
「いってきます。」
家を出て鍵を閉め、俺は学校に向かう。太陽が眩しい、雀の鳴き声、病み上がりだけどとても清々しい朝だった。何かいい事ないかな~…。と思っていると、突然後ろから誰かに肩を叩かれた。
「……っ!?」
「おはよ!一弥!びっくりした?」
振り向くと、翼がいてニコニコしていた。
「びっくりした~…驚かすなよ。」
「へへっ!歩いていたら一弥っぽい後ろ姿が見えたから、驚かすために走って突撃しちゃった!」
「俺じゃなかったらどうするつもりだったのさ。」
「んー…その時はその時で!ということで。」
「お前なぁ……」
そんな会話をして、お互い笑いながら登校した。翼と話しているとすぐに学校に着いた。そして、クラスの教室のドアを開ける。
「あっ、一弥!おはよ~!!」
真っ先に優斗が駆けつけた。
「おはよう。」
「大丈夫か!?風邪ひいたんだって!?」
「あー、うん。でも、もう大丈夫だよ。」
「そっかー!よかったぁぁぁ!」
「大袈裟。」
「だって~!心配だったんだよぉぉ!?」
「そっか。心配してくれてありがとう。」
こうして一日ぶりにみんなと話して楽しく過ごした。でも、俺はまだ知らなかった。まさか、あんなことが起きるなんて…。
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