伝えたい

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「一弥っ!大丈夫!?」 慌てて一弥の体を支える。まだ息も荒い。 「あー、まぁ…うん…。大丈夫だよ…。」 「そう言ってるけど、全然大丈夫そうに見えないぞ?」 すかさず、優斗が口を挟む。瑞季も続ける。 「とりあえず、部屋で休もう。まだ体調も戻っていないし…。」 「そうだね。一弥、部屋に行こう。」 そう言って僕は、一弥の腕を肩に回して一弥の部屋に向かう。一弥をベッドに寝かす。 「…ありがとう…助かっ…た……」 「ねぇ、一弥。親御さんは?」 「あー…両方仕事。だから家にいなくて…。」 「そうなんだ。あ、あとこれ…今日貰ったプリント。」 「あ、ありがとう。」 僕は一弥に預かっていたプリントを渡す。一弥は中を確認して傍に置く。 「あっ、やっべ…もうこんな時間!わりぃ、一弥、翼、俺…母さんに夕食の材料買ってきてって言われてて…もう行かないと!」 「そうだ…俺も今日塾だから、そろそろ行かないと。」 「二人共、忙しいのに来てくれてありがとう…。俺なら大丈夫だから。」 「悪い!お大事にな!」 そう言って、二人は急いで帰って行った。すると、一弥がすぐに口を開いた。 「…翼……」 「ん…?何?」 「抱きついても…いい…?」 「……えっ?」 突然、一弥にそんなことを聞かれて驚いた。え……えっ…!?どういうこと!? 「い…いいよ?」 戸惑いながらそう言うと、すぐに一弥は抱きついてきた。 「……!」 「いい匂い…翼の匂い…落ち着く……」 何気ない一弥の言葉に胸がキュンとする。何なの?この変な気持ち。そんなことを思っていると一弥は続ける。 「翼…ごめんな…気持ち…悪いよな…こんな…男に抱きつかれて……」 「な、何でっ!?全然気持ち悪くなんかないよ!ちょっとびっくりしただけ!!」 「なら…いいけど……」 「……一弥?」 一弥は急に黙り込んだ。よく見ると、体が震えていた。抱きついていて顔がよく見えない。 「翼…俺のこと…嫌いになった…?」 「えっ…?何でそんなこと言うの!?」 意味が分からなくて一弥の顔を無理矢理見る。すると、一弥は泣いていた。 「一…弥……?」 「ぅ…ごめ…泣くつもり…なかったのに…怖い夢…見て…耐えられなくてっ……」 泣きながら話す一弥は、とても辛そうだった。僕はただ、一弥の震える背中をさすることしか出来なかった。
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