61人が本棚に入れています
本棚に追加
4月、入学・進級の季節。すっかり温かくなった。今日は高校の入学式で、僕も行くはずだったが…病気がまだ良くなっていないので行くことができなかった。今頃、式は終わってホームルームかな?橋本翼、15歳。昔から体が弱く、病気持ちで入院生活の方が長い。あーあ…学校に行きたいな……。せめて高校に入ったら、勉強も部活動も頑張ろうって決めてたのに……。すると、病室のドアがノックされ、先生が中に入って来た。
「翼君、今いいかな?」
「…はい、何でしょうか?」
なんだろう…先生が僕に話?…もしかして、病気悪化したとか……。顔が青ざめる僕に、先生は不安を和らげてくれた。
「そんなに緊張しないでいいよ。今日はいい話を持ってきたんだ。」
「いい話?」
「うん。さっきね、君の病気の容態を調べたんだけど…大分良くなっていてね。だから、もし明日容態が急変しなければ、明日から学校に行けるかもしれない。」
「えっ、本当ですか!?」
僕はあまりの嬉しさに寝ていた体を勢いよく起こした。
「あ、駄目だよ。安静にしていないと。」
「…す、すみません。」
そして、またベッドに入る。
「とりあえず、そういうことだから。明日は学校の準備もしておいた方がいいよ。」
「はい、ありがとうございます。」
先生はすぐに、病室を出て行った。そしてベッドの中に潜り込んだ。明日、本当に学校に行けるんだ…。そう考えると嬉しくなった。
次の日、先生から学校に行く許可をもらって僕は学校に行った。道に迷いもしたが、何とかたどり着けた。そして職員室に行って先生から説明をもらい、自分の教室に行って席に着いた。まだ誰も、教室にいなかった。
「この時間帯は誰もいないのか…」
すると、教室のドアが勢いよく開けられ一人の男子生徒が入って来る。
「いぇぇぇぇい!いっちばぁぁぁぁぁん!!」
大きな音と声に、僕の体はビクッと反応した。
「…ってあれ、人いた。ていうか、そこの席…もしかして橋本君!?」
その男子は走って僕の元に近づいて尋ねてくる。
「え…う、うん…。でも、何で僕の名前知ってるの?」
「昨日の入学式に、この席の橋本翼君が病気持ちで闘病生活を送っているって担任から聞いた!」
「そう…なんだ……」
じゃあ…もうみんな知ってるんだな。
「これも何かの縁だと思うんだよね!だからさ沢山話そうぜ!俺は赤城優斗、よろしくな橋本君!」
「…うんっ、よろしくね。」
最初のコメントを投稿しよう!