ごめんね。最後まで一緒にいられなくて。

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授業が終わって、先生は急いで教室を出て行った。俺は少し不安に思い、こっそり先生の後を追った。先生は保健室に入った。保健室…?先生具合でも悪いのかな?そう思いながら、保健室のドアをそーっと開け、中の様子を伺った。少ししか見えないが、保健の先生と古文の先生が話しているのが見えた。 「容態が悪化したって…大丈夫なんですか?」 「分かりません。何しろ、彼の病気は私にも分かりませんし…とりあえず、救急車を呼んだのでもうそろそろ来るかと…」 「…そうですか。」 話の内容で大体分かった。翼のことだ。翼の持っていた病気が悪化して、病院に救急搬送されるらしい。俺はすぐに保健室を後にして、教室に戻った。数分後、救急車が学校に来た。ちょうど俺らの教室から救急車が見えたのでクラスのみんな騒いでいる。 「何で救急車?」 「え、誰か倒れたの?」 ざわざわしている中、俺は見た。翼が救急車に乗せられるところを。 放課後、俺は部活を休んで急いで病院に向かった。どうか無事でいてくれ…。病院に着いて、受け付けのスタッフに病室を聞く。聞いた病室に向かい、ノックをして中に入る。すると、翼は呼吸器をしながら眠っていた。 「……翼…」 顔色は悪い。とても大丈夫そうに見えない。すると看護師さんが入ってきた。 「あら、翼君のお友達?」 ちょうど変装しているので、俺がカナタだということは彼女は分かっていない。 「…はい。あの…翼、大丈夫なんですか?」 「うーん…実際私にも分からないわ。何しろ彼の病気のケースは初めてなもので。」 「そう…ですか……あの、翼は大丈夫ですよね?また、俺達と一緒に学校生活送れますよね?」 「…え、えぇ…大丈夫よ。きっと早く良くなるわ。じゃあ私は仕事があるから行くわね。」 そう言って看護師さんは病室を出て行った。彼女の言っていた大丈夫を信用してもいいのだろうか?何か隠しているように見え、俺はとても本当のことを言っているようには聞き取れなかった。そんな中、翼の手を握っていると、翼が目を覚ました。 「……ん…」 「翼っ!?」 「…あれ…一弥…?」 「大丈夫か?」 「…う…うん……」 「無理して大丈夫って言わなくてもいいんだぞ?」 「え、だ、大丈夫だよ?何言ってるの、一弥。あはは…」 大丈夫そうには見えない。なぜなら翼の顔に、大丈夫じゃないと書いてあるのだから…。
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