ごめんね。最後まで一緒にいられなくて。

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「大丈夫じゃないって…顔に書いてあるぞ?」 「……っ!?」 「なぁ、大丈夫じゃないならそう言えよ。俺、翼が辛そうにしてるところを見たくないんだよ。」 そう言うと、翼は俯いて口元を手で抑えた。…まさか……。 「翼?もしかして吐きそう?」 翼は声にはしなかったが小さく頷いた。 「そうか。トイレまで歩ける?」 「…多分……」 そう言って、翼はベッドからゆっくり立ち上がる。そして病室についていたトイレの中に入る。一人だけにしておくと危なかったので俺も中に入った。ドアを閉めた直後、何かが倒れる音が聞こえた。振り向くと、翼が倒れていた。 「ゲホッゲホッ…」 翼の口元から血が出ていた。血を吐いてる…!? 「翼っ!翼っ!?」 慌てて近づき、抱き起こすと翼はまた吐血した。かなりの量…俺の服も翼も血まみれになった。 「…どうしよう…俺だけじゃ無理だ……。お医者さんを呼ばないと……」 俺はそっと翼をその場に寝かせて、病室を出た。とりあえず、看護師さんを呼ぼう。俺は近くにいた看護師さんに声をかけた。 「すみませんっ!今いいですか!?」 「え!?えぇ……それより君、どうしたの?服が真っ赤よ…?」 「306号室に入院してる友達の具合が、悪くなって…さっきトイレで吐血して……」 「え…大変っ!今急いで先生を呼んでくるわ!悪いんだけど、翼君の元にいてあげてっ!」 「分かりました!」 俺は急いで翼の病室に戻った。トイレの中に入ると翼は苦しそうに胸を抑えていた。 「翼っ!」 近くによって、背中をさする。俺にはこれくらいしか出来なかった。すると、翼はゆっくり瞼を開いた。 「…一…弥……」 「翼…今お医者さん来るから…もう少し待って…」 「苦し…一弥……」 翼は泣き出した。こんなに辛そうな翼は初めてだ。 「…翼……」 すると、トイレのドアが開いた。さっきの看護師さんとお医者さんがいた。 「これは…容態が悪化しているかもしれん……」 「先生…翼は…大丈夫なんですか……?」 俺は恐る恐る聞いた。すると、お医者さんはトーンが低い声でこう言った。 「君、橋本君の友達だね?」 「は…はい……」 「そうか。君に一つ言っておくよ。」 何だろう…?声の低さで、とても深刻なことなのかと思いながら、お医者さんの言葉を待つ。そして、お医者さんは口を開いた。 「彼と一緒にいれる時間はもうないと思いなさい。」
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