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「いや…何かそういう雰囲気がしたから」
「えーと…いや…その……」
なんて言えばいいのか分からなかった。そもそも、俺が一人で悩んでいることなのに、他の奴らに迷惑をかけるのはとても気が引けた。
「カナタ、言いにくかったら無理にとは言わないけど…何か悩んでいたら相談に乗るよ?このままこの食事続けてたらカナタの体が壊れる。だから…何があったのか教えて欲しい。」
「……」
そんなふうに言われたら…余計に黙っているのが申し訳なくなる。俺は口を開く。
「友達が…今危ない状態で…下手したら早くに逝っちゃうかもしれないんだ…それを考えてたら食欲なくなっちゃって……」
「そっか。それは心配だよな。今日は見舞い行けたのか?」
「ううん…」
「だよな…最近かなり忙しいし、学校終わった後すぐにダンス練習とかあるし…」
「……うん。」
また気持ちがブルーになっていき、食欲も更になくなる。下手に食べたら吐いてしまいそうだ…。俺はそう思いながら緑茶を飲む。しばらくその会話をして、今日はここでお開きになった。
「……弥……一弥…一弥っ!」
「……っ!?」
「大丈夫か?神宮寺。どこか具合でも悪いのか?」
「あ……」
気づくと、先生が近くに立っていた。授業中に眠っていたらしい。
「す、すみません…」
「いや、お前が珍しく寝ていると思ったら凄くうなされていたから。本当に大丈夫か?」
「だ、大丈夫です……」
「そうか、ならいいが。じゃあ授業再開な。」
そう言って、先生は教科書を読みながら授業を続ける。何か…体が重い……。そう思いながら授業を受けた。
「翼、大分調子回復してきたっぽいぞ?」
「まだ抗がん剤治療は受けてないけど、昨日言ったら前より元気そうだったよ。」
「そっか…よかった……」
昼休み、俺は優斗と瑞季と昼食を食べた。二人が翼のお見舞いに行ってくれてるので、俺は毎日二人から翼の容態について聞かせてもらった。
「そういや、翼…お前の顔見たいって言ってたぞ?」
「……え?」
翼が…?
「最近一弥と会えてなくて、寂しいって…。仕事で忙しいとは思うけど、時間作れたら見舞い行ってあげて。」
「あ…うん。」
最近仕事詰めで忙しく、翼と会ってる暇がなかったからな…。仕事、いつもと同じ時間帯だよな…もしかしたら…走ったら間に合うかも…?よし、決めた。放課後、俺は翼に会いに行くことにした。
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