ごめんね。最後まで一緒にいられなくて。

6/7
前へ
/29ページ
次へ
「いや…何かそういう雰囲気がしたから」 「えーと…いや…その……」 なんて言えばいいのか分からなかった。そもそも、俺が一人で悩んでいることなのに、他の奴らに迷惑をかけるのはとても気が引けた。 「カナタ、言いにくかったら無理にとは言わないけど…何か悩んでいたら相談に乗るよ?このままこの食事続けてたらカナタの体が壊れる。だから…何があったのか教えて欲しい。」 「……」 そんなふうに言われたら…余計に黙っているのが申し訳なくなる。俺は口を開く。 「友達が…今危ない状態で…下手したら早くに逝っちゃうかもしれないんだ…それを考えてたら食欲なくなっちゃって……」 「そっか。それは心配だよな。今日は見舞い行けたのか?」 「ううん…」 「だよな…最近かなり忙しいし、学校終わった後すぐにダンス練習とかあるし…」 「……うん。」 また気持ちがブルーになっていき、食欲も更になくなる。下手に食べたら吐いてしまいそうだ…。俺はそう思いながら緑茶を飲む。しばらくその会話をして、今日はここでお開きになった。 「……弥……一弥…一弥っ!」 「……っ!?」 「大丈夫か?神宮寺。どこか具合でも悪いのか?」 「あ……」 気づくと、先生が近くに立っていた。授業中に眠っていたらしい。 「す、すみません…」 「いや、お前が珍しく寝ていると思ったら凄くうなされていたから。本当に大丈夫か?」 「だ、大丈夫です……」 「そうか、ならいいが。じゃあ授業再開な。」 そう言って、先生は教科書を読みながら授業を続ける。何か…体が重い……。そう思いながら授業を受けた。 「翼、大分調子回復してきたっぽいぞ?」 「まだ抗がん剤治療は受けてないけど、昨日言ったら前より元気そうだったよ。」 「そっか…よかった……」 昼休み、俺は優斗と瑞季と昼食を食べた。二人が翼のお見舞いに行ってくれてるので、俺は毎日二人から翼の容態について聞かせてもらった。 「そういや、翼…お前の顔見たいって言ってたぞ?」 「……え?」 翼が…? 「最近一弥と会えてなくて、寂しいって…。仕事で忙しいとは思うけど、時間作れたら見舞い行ってあげて。」 「あ…うん。」 最近仕事詰めで忙しく、翼と会ってる暇がなかったからな…。仕事、いつもと同じ時間帯だよな…もしかしたら…走ったら間に合うかも…?よし、決めた。放課後、俺は翼に会いに行くことにした。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加