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放課後になり、俺は翼の入院している病院に急いで向かった。翼に会いたい…その想いが強く増していく。病院に着いて、翼の病室を数回ノックし中に入る。
「失礼します。」
すると、翼は眠っていた。確かに、前より顔色がよくなっている。よかった…このまま元気になってくれればいいんだけど…。すると、翼が口を開いた。
「…ごめんね……最後まで一緒にいられなくて…」
……え?どういうこと?寝言…だよな?最後まで一緒に居られない?俺の不安・焦りは一気に高まった。そんなことを思っていると翼が目を覚ました。
「……あれ?一…弥……?来てくれたの?」
「え…あ、うん。」
「嬉しい。最近全然会えなかったから…来てくれてありがとう。」
「ううん。俺も翼の顔が見たかったから。」
あの翼の寝言が引っかかる。そして不安と焦りは募るばかり。とりあえず俺は、時間が迫っていることを確認して病院を出ることにした。
「翼、ごめん。この後このまま仕事に行かなきゃならなくて…また来るからっ!」
「仕事あるのに来てくれたんだね。ありがとう。僕のことは気にしないで?仕事頑張ってね。」
そう言って翼はニコッと微笑む。
「ありがとう。」
翼にそう言って、俺は病室を出た。病院も出て、すぐ仕事に向かう。ブルーな気持ちを抱えたまま。
「はぁ…はぁ……」
走って仕事に向かっていたが、途中で息苦しくなり歩いている。このままじゃ仕事に間に合わない。するとなぜか足元がふらつき、そのまま地べたに座り込む。
「…あ……れ?」
立ち上がろうとしても、力が入らない。何で…?何か…視界もぼやけてきた……。それでも…何とか力を入れ、俺は仕事に向かう。やっと着いたが、俺はもう既に限界に達していた。視界が一気にブラックアウトし、それからのことは何も覚えていない。
「……ん。」
「あ、大丈夫?カナタ。」
目を覚ますと、ツムギが俺の顔を覗き込んでいた。
「ツムギ…?」
「うん。びっくりしたよ…まさかカナタが熱出すなんて。」
「…え…熱?」
「うん。カナタ中々来ないから、スタジオ出て探しに行こうとしたらそこで倒れてたんだもん。カナタのでこに触れたら、それはもう熱かったよ。」
「ご、ごめん…」
「別に謝らなくていいよ。最近元気なさそうだったしね。」
そう言って、ツムギは俺の背中を優しく撫でてくれた。
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