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「…ってか、病気持ちって…どういう病気なの?」
初めて聞かれた。今まで、誰もそういうことを聞いてくることがなかったから……。
「…それが…よく分からないんだ……」
「分からない?」
「…うん。小さい頃から入院ばっかの生活だったから…それに、両親も何も病気のことについて言わなくて…だから、分からない。それに、両親は二人とも他界しちゃって、もう聞くことができない。」
「……なんか、ごめんなさい。」
赤城君は、申し訳なさそうな表情で頭を下げた。
「えっ…いいよ、全然!気にしないで、顔上げて?」
そんな会話をしていると、またしても教室のドアが開いた。真面目そうな男子だった。
「おっ、瑞季ー!おっはよぉぉぉ!」
「相変わらずうるさいな。なんだよ。」
「えっへへー!」
瑞季と言われた男子に、赤城君は肩を組む。仲良いんだな。
「あれ、その席……」
「あ、聞いてよ瑞季!この席の子が来てくれたんだ!」
「あぁ、確か…橋本翼君。」
「は、はじめまして。橋本翼です。よろしくお願いします。」
俺は席を立って、礼をする。
「はじめまして、高野瑞季です。同い年なんだから敬語とか全然気にしないで、気安く接してよ。よろしくね。」
赤城君も凄くイケメンだけど、高野君も凄くかっこいい。顔面偏差値高いんだな…。
「体は大丈夫?病気持ちって聞いたけど…」
「あ、う…うんっ!大分良くなってきたから、先生に学校行ってもいいよって言われて…」
「そうなんだ。無理はしないようにね。」
「…うん、ありがとう。」
まさか、こんなに早くいい人達に囲まれるなんて…凄く嬉しい…。すると、またドアが開いて誰かが入って来た。またイケメンな人かな?そう思ってドアの方を見ると、見たことのある人だった。
「…え……」
僕は驚きの表情を隠せなかった。そこにいたのは…大人気アイドルグループ『Sirius』のリーダー【kanata】だったからだ。
「お、一弥!おはよう!」
「おはよう。」
え、一弥?人違い?そう思ってると、高野君が口を開く。
「翼は知ってるかな?今、大人気のアイドルグループ『Sirius』の【kanata】こと、神宮寺一弥だよ。」
「…え…えぇぇぇぇ!?嘘、本当に!?」
「何?偽物だとでも言いたいわけ?」
神宮寺君は、鋭い目で睨む。
「そういうわけじゃないよ…ごめん…」
これが、僕と神宮寺君との出会いだった。
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