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新たな体験
僕達はお互い、少しだけだけど仲を深めることが出来た。それから、教室に戻る。
「あっ、お前ら!どこ行ってたんだよー!」
頬を膨らませながら赤城君が近寄ってきた。
「…ご、ごめん。」
「俺は翼を探しに行ってただけだ。」
…え?今…翼って……。神宮寺君のほうを見ると、キョトンとした表情だった。そして、赤城君が僕の思っていたことと、似たようなことを口に出した。
「お前ら、いつの間に名前で呼び合う仲になったんだよ。」
「…何?駄目なの?」
「いや、そうじゃなくて……さっきまで橋本君のことあまり良いとは思っていなさそうだったからさ。今急に名前で、しかも呼び捨てで呼んでたから驚いて。」
「……あ。」
神宮寺君はやっと気づいたみたいな顔をしてそっぽを向いた。
「おーい、一弥?」
不味いことを言ってしまったか?と苦笑いしながら神宮寺君に尋ねる赤城君。すると、神宮寺君が僕達に視線を合わした。見ると、神宮寺君の頬は赤くなっていた。
「……え?」
「ご、ごめん。俺…心許した人にはすぐ、名前で呼び捨てにするから……。その…嫌だったら直すから…。」
「ぜ、全然嫌じゃない!!」
気づけば、大声でそう言い放っていた。教室も、僕らの他に何人かいて、何事?というような表情でこちらを見ていた。僕は気にせず続ける。
「僕は昔、全然学校に行けてなくてクラスに馴染めていなかった。それに、みんなが名前呼びで呼んでいるのに対して、僕は名字で呼ばれていたから…これが当たり前なんだなって思ってた。…でも、神宮…一弥…が、名前で呼んでくれて凄く嬉しかったの!こういうこと、初めてだったから。」
「…そう…だったんだ。ならさ、俺も翼って呼んでいいか?俺のことも優斗でいいからさ!」
「俺も、瑞季って呼んでよ。その方が親近感湧いていいでしょ。」
「う、うん!ありがとう!」
凄く嬉しくて、夢を見ているみたいだった。こういう学校生活に憧れを抱いていたんだなと改めて実感した。
「そういえば…翼は何か部活に入るの?」
「……へ?」
優斗に聞かれて、部活のことを忘れていた。それに、何か部活に入れるかも分からないでいた。
「あー…考えていなかったし、忘れてた。」
苦笑いしながらそう言う。すると、優斗は大きい声で目を輝かせながら言う。
「ならさ、バスケ見に行かね!?」
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