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「…バスケ?」
「そう!実は俺、バスケ好きなんだけど中学にバスケ部なくてさ…だから見に行きたくて。」
「俺はいいよ。」
そう言ったのは瑞季だった。
「俺も、運動部に入りたいなって考えてて。だからバスケも見ておきたい。」
瑞季に続いて、一弥も口を開く。
「俺も中学の時にバスケやってて凄く楽しかったから、高校のバスケも見てみたい。」
「お前らっ……!ありがとう!」
優斗は凄く嬉しそうな表情で、瑞季と一弥に言う。そして次は僕に振ってきた。
「翼は?どうする?」
「え?えー…と……」
正直、病気持ちの僕が運動部に入れるとは今でも思っていなかったので、返答に困った。僕が悩んでいると、一弥が口を開いた。
「見てみるだけでもいいんじゃない?まだ時間はあるんだし、焦ることないと思うよ。」
確かに、一弥の言う通りだ。今はまだ見学していい期間だし……。色々考えて、僕もバスケ部を見学に行くことにした。
「うん。僕も行く。」
「よっしゃー!じゃあ放課後は四人で見に行くぞ!」
こうして時間はどんどん過ぎていき、あっという間に放課後の時間になった。
放課後、僕と一弥と瑞季と優斗はバスケ部が活動している体育館に見学に行った。中に入ると、先輩方みんなが、汗を流しながら必死に練習していた。凄い…かっこいい……。そして、主将らしき人が基礎練習の体験準備を整えて、見学している僕達に言う。
「じゃあ、一年にもこの基礎練習の体験をしてもらおうと思うんだが、参加したい人はこっちに来てくれ。」
主将が言い終えた後、見学の一年がほぼ全員がその先輩の人の近くに寄って行った。もちろん、一弥達も。僕は体の為にも、行かなかった。すると、誰かに声をかけられた。
「あなたは行かなくてもいいの?」
「…え?」
見ると、マネージャーらしい女の先輩が僕の顔を覗き込んでいた。
「せっかくなんだから参加したらいいのに。」
「参加…したいのは山々なんですが…その…僕、病気持ちで…あまり過激な運動はするなと言われてるんです。」
「そう…だったの…ごめんなさい、余計なお世話だったよね。」
「全然、大丈夫ですよ。気にしないでください。」
そう言うとその人は質問をした。
「…君、バスケは好き?」
「え?えっと…ここに来るまでは、そうでもなかったんですけど…見るのは好きだなって…思えました。」
「じゃあさ、バスケ部のマネージャーやってみない?」
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