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「マネージャー…?」
「うん。実はうちのバスケ部、イケメンが多いってことで有名で、女子のマネージャー希望者が多いのよね。部内恋愛禁止なわけじゃないけど、男目当てで入られるの困るのよ。それに毎年、うちのバスケ部は学年ごと一人ずつだから困っちゃって。」
「……先輩はバスケが好きで男バスのマネージャーに?」
「うん、中学の時バスケ部で…高校でも続けようと思ってたんだけど、中三の時に練習試合で肩を痛めて…もうバスケは出来ないって医者に言われたんだ。」
「そう…だったんですか。」
「だからせめて、マネージャーとして選手全員のサポートをしたいなって思ったんだ。」
先輩の話を聞くだけで、楽しそうと思えた。
「でも、マネージャーって女子がなるべきじゃないですか?僕男だし…選手の人達も幻滅するかと…」
「えー!?マネージャー=女子じゃないよ!男子でもマネージャーやってる人はいるんだから!まぁ、私もあまり見たことはないけど……。でも、マネージャーやってくれる人は、バスケが本当に好きで、男目当てでこない人…そういう人がいいんだ。君みたいに目を輝かせながら見ているような。」
「……あの、僕…マネージャーやりたいです!先輩みたいに選手全員のサポートができるマネージャーに!!」
「本当!?じゃあ、希望者のところに名前書いておくね!なりたい理由も聞けたから…他の質問するね。」
「はい。」
それから何分か先輩に質問されたことに答えて、今日の部活動見学は終了した。一弥と瑞季と優斗と合流して下校する。すると、一弥が尋ねてくる。
「翼、どうだった?学校は。」
「凄く楽しかった!」
「それはよかった。」
「なぁ、翼!今日バスケ部見に行って、俺と一弥と瑞季は男バス入ることにしたんだけど…翼はどうするんだ?他の部活とか…?」
「うーんとね、こういうこと言ったら驚くかもしれないけど……僕…男バスのマネージャーやろうかなって……」
「……え!?」
三人全員の声がハモった。
「マネージャーになるの!?」
「まだなってはいないよ。希望しただけ。なるかどうかは後日、入部届けの締切前に佐藤先輩って男バスのマネージャーの先輩が結果教えてくれるからそれからだよ。バスケ見てたら凄く楽しくなっちゃって…だから、頑張る選手達を応援したくて!」
帰り道の夕日が差しながら、僕は満面の笑みを見せた。その表情は生まれて初めてかもしれない。
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