第十八章 迷宮奇譚 三

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 部屋に戻ったと思ったが桜本は、薬を持って戻ってきていた。雪矢は初めてなので、終わったら薬を付けたほうがいいという。 「あれだけ使ったら、暫く男には使わない方がいいね……それに、リハビリをした方がいい。尻の筋肉を絞める訓練だよね」  まず炎症を押さえて、腫れが引くまで、排泄以外の使用をしない。腫れが引いたら、筋肉を鍛えて、瀬谷の立派な相棒になって欲しいという。 「雪矢さん、精神面では大丈夫なのでしょうか?ショックを受けたりしていませんか?」 「それは、何とも言えないけど。俺達の仕事はショックの連続だからね……ショックには慣れているから、立ち直りも早い」  雪矢は、性格や目的を隠して、相手に切り込んでいくので、かなり屈折している面があるという。瀬谷は、複雑そうに見えて、真っすぐな性格なので丁度いいと、雨之目と桜本が情報交換しながら分析していた。 「でも、尻を使うというのは、男としては分岐点ですよ」  尻で感じるなど、まるで考えた事のない男が大半なのだ。その常識を覆されるショックは、ちょっと半端ではない。俺も、尻というのは椅子に座るためのもので、時々、排泄に使用する認識であったのだが、新悟に抱かれて覆ってしまった。
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