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気がついた時には病院のベッドの上で
事実は後から知った
皆が涙を浮かべ悲しむ中
僕1人だけが異質だった
亡くなった両親の実の息子である僕だけが何の感情も抱いていなかった
式場に飾られた2枚の写真を不思議そうに眺める僕
“この人達は誰?”
式の最中もそのことばかりが頭をぐるぐると回っていた
僕の中から両親の記憶だけが抜けてしまった
「事故のショックによる記憶障害が起きているのでしょうね。」
お医者さんが言うには
あまりのショックから身を守る為に本能的に記憶を閉ざしてしまったのではないかということ
すぐに思い出すこともあれば一生思い出さないこともある
焦らずゆっくり時間をかけて傷を癒していけばいいとのこと
何が何だかよく分からないままに
僕は福祉施設の園長をしている叔父に引き取られることとなった
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