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「里谷と如月は、それぞれ所轄の者二名ずつと被害者の素性を追え。 指紋も採取されたし、データベースとの照合もそろそろ終わるだろう。 八橋と木葉は、応援の者それぞれ二名と共に、現場周辺の聞き込みを再度頼む。 此方で解った情報は随時に、其方へと送る」
他の残る応援の刑事は、諸々の確認作業へ。
然し、立ち上がる刑事達だが。 年配の刑事二人と合流した木葉刑事に、
「木葉刑事、ちょっと」
と、覚めた声が掛かった。
他の刑事から見られながら、ノソノソと前に出る木葉刑事。 声を掛けて来た美田園管理官の前に出る。 覚めた眼、覚めた表情をそのままに、美田園管理官は言う。
「他に、何か此方へ打診する事は? 鑑識員に、庭の入念な捜索を打診したそうですが?」
「あ~~~、ちょっと庭の一部がヘンなんで、飯田さんと二人して打診しました」
「鑑識班を向かわせればイイの?」
「ん~、既に麻薬が発見されてますんで、薬物絡みならば組対室の薬物取締課を一緒にさせた方が…」
だが、彼女の表情は変わりなく。
「それは、発見したらします。 代わりに、貴方が参加して下さい」
「はい…」
そして…。 鑑識班より先に現場へ戻った木葉刑事。 一緒に連れるのは、50半ばの小太りな長谷部刑事と、60手前と成る細身の司馬刑事。
真冬の夜。 冷め冷めとした風が吹く中、家の前の道路より大人の男性一人分は高い土台となっている現場の家。 入り口となるのは、柵の一部を開ける格子の門を開いて。 階段を6段ほど上がる必要が在るが。 その階段を上がる木葉刑事は、羽織るコートの前をしっかり締め直すと。
「さて、何が出るやら…」
こう言いながら、雪が被さる庭を見回す。 恐らくは芝生が張りしきる、小さな庭だ。
その庭を見る司馬刑事は、ライトと雪掻き用のプラスチックスコップを片手に、髪の毛の薄くなった頭を触りながら。
「どうせ外回りで風雪を被るぐらいなら、動いていた方がいい。 さぁ、一課の刑事さん、何処から捜す?」
すると木葉刑事は、雪の中より背を見せる庭に埋まる石を指差し。
「この手の庭石には、顔と背が在りましてね。 この庭に埋まる四角い石は、その裏表が逆みたいなんです」
「庭の石?」
「それだけじゃないッスよ。 あの、庭の四隅に植わる庭木ですが。 鉢植え三つ・四つが密集し過ぎて居る上、奥まってる木の葉っぱの色が濃すぎるので、一本は造木かもしれません」
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