第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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「誰も道路に出るな゛あっ!! 隠れてろっ! 拳銃を持った車が居る!! 道路に出るなっ!!!!」 転んだ状態から有りっ丈の力で叫び、また動き出して立った木葉刑事。 然し、鑑識車両の端を掠めた白い車は、何と被害者宅の方にも発砲。 また、それと同時に発砲音がした。 (不味いっ、警官が打ち返したっ!!) 慌てて走る木葉刑事。 一方、逃げ去る車が危険な運転を承知で、交差点の赤信号に飛び出したのを見る通行人。 青から赤へと信号が変わった瞬間の交差点で、けたたましいクラクションが辺りに響いた。 走り去りながらスマホを取り出した木葉刑事は、擦って動いた鑑識車両を越えながら、本部へのリダイアルを押した。 「大丈夫かっ?」 被害者宅の前に居た筈の警官を見ると、拳銃を手に震えて立ち尽くして居るではないか。 「大丈夫かっ? 怪我は無いかっ?」 と、彼を見る木葉刑事は、帽子まで脱がせ全身を見る。 打ち返して放心状態に成る彼は、左額に弾を掠めて血を流す。 「もしもし、此方…」 本部のマイク型の通信機で美田園管理官が出るや、木葉刑事は直ぐに。 「現場で発砲発生」 この話始めで、美田園管理官に緊急時に対する感覚のスイッチが入って。 パッと紙を裏返す。 「続けなさい」 「此方へ発砲した者が乗る車は、白の乗用車。 品川ナンバー、ふ‐6753。 今、立正の警官が負傷。 至急、救急車の要請をねがいます」 と、情報を言った。 捜査本部にて、皆に話し声が聞こえる様にした美田園管理官は、片手で書いたメモを右に動かしながら。 「尚形係長、逃走車の追跡手配を。 篠田班長、現場に救急車をお願いします」 と、直ぐに指示をすると。 「木葉刑事、他に情報は?」 瓶内鑑識員の、鑑識員の全員無事を言う声を聴いた木葉刑事は、 「瓶内さん、彼の助けをっ! 自分は、長谷部さん達を見て来ますっ!」 と、また走り出しながら。 「管理官、鑑識班は全員無事ですっ! これからっ、先に襲われた長谷部、司馬刑事の安否確認とっ。 不審者として確保した者の確認をしますっ!」 「了解。 速やかにお願い。 通話は、切らないで」 マイクを口より離す美田園管理官は、応援の刑事達を現場に向かわせる八重瀬理事官に。 「八重瀬さん、それが終わったら、木田一課長に電話を」 「はい、分かりました」
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