第三部:その時を待ちながら厳冬に事件が続く

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ダメ出しされた木葉刑事なのに、全く堪えてもない様子。 然も、返って呆れた顔になり。 「てか、あの学園の生徒さんは、才能アリか・・金持ちッスよ。 あの有名ホテル“ナイトアンドシーク”で昼間の高級ビュッフェって・・、高校生やら大学生で有り得るのかな」 と、疑問を呈して椅子に座る。 高級ビュッフェと聞いた里谷刑事は、身を乗り出して自分を指差す。 “アタシもっ、アタシもっ!” と、云わんばかりだ。 シラ~と彼女を脇目に見る木葉刑事。 「自腹で願いま~す」 “理解してる”と云わんばかりにガクガク頷いた里谷刑事。 だが、その様子を見ていた八橋刑事は、ソッと飯田刑事の間近に居る市村刑事に近寄り。 (あの有名ホテルのランチビュッフェって、90分食べ放題で1万3千円じゃなかったですか? 里谷さん、今月は懐が寒いって…) 市村刑事も、その理由は知っていた。 有賀に負けてから休日はトレーニング漬けの彼女は、一週間ほど前に新しいトレーニングマシンを購入したとか。 先月の給料とボーナスを併せ、38万円を即決し支払ったらしい。 “む゛ぇぇぇんっ、財布が寂しいよぉぉぉっ!” 給料日前の一昨日、自分や木葉刑事にこう喚いていたハズで在る。 (アイツ、月の給料を何に使ってるんだ?) 今更ながら、そんな疑問を持った。 そして、昼までネットの案内でランチの情報を漁った里谷刑事で。 昼間に成った瞬間に木葉刑事を急かし、木葉刑事より食べる気で、木葉刑事より先にホテルに突撃した彼女。 詩織達と合流した木葉刑事は、延長料金まで払い2時間半食い続けた里谷刑事に半笑い。 だが、闘える強い女性刑事には、詩織達はカッコイいと言っていた。 里谷刑事の武勇伝に、新しい一頁が書き足された感じであるが…。 警視庁に戻った二人を、事件担当の入電が待っていた。 世田谷の住宅街のにて、主婦が殺害された。 紐状のものを使っての絞殺で在ると云う。 篠田班に臨場要請が出た。 本日は、事件続きにて、また“機捜”の手が足りないのだ。 庶務課の出動も遅れ、鑑識班はもう出動して居るが、応援に来る所轄の刑事も数が少ないらしい。 そんな訳で出動だ。 今にも雪が舞いそうな空模様の中で、運転する里谷刑事と市村刑事を伴い現場に向かう車中にて。 ‐ 木葉、先ずは遺体と現場を見るぞ(飯田)‐ 別の車両に乗る飯田刑事より、班専用の掲示板へショートメールが来た。
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