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現場は、世田谷区成城の学園にも徒歩で苦もなく行ける場所の一戸建て。 亡くなったのは、モデルの様に背の高めな主婦である。 亡くなっていたのは、客間らしき和室であるが…。
さて、今日は珍しい人物が現場に居た。 女性の鑑識班班長、〔瓶内 千紗〕《へいない ちさ》班長である。
「あ~らら、やっと篠田班と当たったわ」
長い長い髪を一本にして居る高身長の40代前半。 飯田刑事を若い頃から好きだったが、飯田刑事には全く相手にされなかった。 この飯田刑事は、気が強かったり高圧的な相手を嫌う傾向に在る為だ。
知った顔と云う市村刑事は、
「千紗さんが担当とはね。 遠矢の事件も一段落したか?」
と、近付く。
一方、まだ運ばれていない遺体を見下ろす飯田刑事が。
「死亡は、何時ぐらいか?」
瓶内鑑識員は、ちょっと大人びた気怠い雰囲気を魅せながら。
「死後、24時間は経過してるらしいわ」
「“らしい”?」
「今年から、現場に医師免許を持つ職員が入る事に成ったの。 その人の見立てだと、内臓の温度からして昨日の午後、昼の1時から3時の間じゃ~ないかって。 私も、同じ意見」
タブレット端末を持つ八橋刑事は、既に入って居る情報を見るまま。
「通報が昼の2時38分って為ってますが。 第一発見者って…」
と、呟けば。
ゴム手袋を外す瓶内鑑識員は、全くやる気の無い様にも見えながら。
「そ~れが、何処にも居ないのよ」
此処で、全員が瓶内鑑識員を見返す。
家の前には、立正の警察官二人しか居なかったのを思い出す織田刑事。
「まさか、逃げちゃった?」
里谷刑事も、これは面倒と。
「あちゃ~。 でも、主婦って言ってたなら、ダンナは何処?」
すると、証拠品を並べる台を指差した瓶内鑑識員。
「機捜も来てないから、それはそっちに任せるわ。 ある程度の証拠品採取は終わってるから、指紋を着けない様にしてなら見回ってもイイわよ」
現場の部屋からリビングへと去る彼女を他所に、木葉刑事は遺体の脇に屈むと。
「ね、織田さん」
「ん?」
「こんな和室で被害者は首を絞められてますが。 この被害者、顔のメイクがしっかりしてる気がしますけど…」
近付いて来た織田刑事は、被害者の部屋着のカジュアルなスカートをペンで捲ると。
「下着は紫のスケスケ・・、然も布団の在る客間。 もしかしたら、勝負物かもね」
「それって、相手はダンナさんですかね?」
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