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「まぁ、ダンナの仕事に因るけど。 普通なら、寝る前に着替えでイイんじゃ~ない? 昼間っからコレなら、誰かさんとヤル気満々だったかもね」
二人の会話から、
“不倫も在り”
と、感じ取る刑事達。
押収されたスマホにはロックが掛かり、日常の様子を現す類いの手帳も無し。 色々と探し回って、旦那の会社に関する情報は鑑識員が得たらしいが…。
被害者の私室と成る二階へ向かった篠田班。 女性の部屋らしい室内を見回した木葉刑事は、新品の桐のタンスを見ると。
「あら、コレって・・シークレットショーケースかな?」
一緒に入った八橋刑事と里谷刑事は、木葉刑事が桐のタンスに近付くのを見る。
里谷刑事は、立派な桐のタンスを見て。
「‘シークレット・ショーケース’って、隠し戸棚の在るヤツの俗称よ。 コレは、桐のタンス」
然し、タンスの側面に回った木葉刑事は、その材質を調べる様に触れると。
「桐のタンスで、模様がトランプって変わり過ぎでしょ。 それに、引き出しの奥行きが、寸足らずみたいって・・・これか」
つなぎ目が解らない見た目ながら、或る場所を押さえて上に持ち上げた。 すると、まるで冷蔵庫のドアを開く様にして、桐のタンスが動いた。
初めて見る仕様の箪笥に八橋刑事は、
「うわ、隠し棚」
と、下に降りた鑑識員を呼びに行く。
一方、納得が行かない里谷刑事。
「何で解るのよ゛」
中身を覗く木葉刑事より。
「以前、二課が組事務所からこんな棚を押収しまして。 迅と雑談していたら、写真で見せて貰ったンです。 その時は、‘葵’に‘村正’だった様な」
「な゛に゛それっ」
其所へ、八橋刑事に呼ばれた瓶内鑑識員が入って来て。
「葵は、徳川家の家紋。 それで、徳川家に妖刀と嫌われたのが、村正って云う人物が造った刀なの。 ま、今時はどうでもイイ話よね」
部屋に入って来るまま説明をした。
開かれた三段の棚を見る木葉刑事は、スケスケの下着やら海外の化粧品やらに、なかなか作りは良さそうなアクセ類と。 棚に置かれたモノを取り出しながら。
「被害者って、もしかすると風俗嬢か、ホステスやらギャバクラ嬢だったかも。 結婚して辞めても、パトロンとは繋がりが切れてなかったりして~」
と、大量の海外製品の避妊薬まで取り出した。
すると、ペンライトで首筋を小指で掻く瓶内鑑識員は。
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