3人が本棚に入れています
本棚に追加
“お嬢ちゃん、今回限りでイイんだって。 別に、麻薬みたいなヤバいものじゃないんだから。 これを飲んで、一時ばかりおじさんの言いなりになればイイだけさ。 それとも、あんな映像を流されて御両親を泣かせたいのかい?”
強要を物腰柔かく言って、薬物を少女に勧めている。
(この家、一体何に使われてたんだろう)
冷静に視る木葉刑事は、更に別の思念が視せる記憶にも触れた。
“あの、これで次のお薬を…”
里谷刑事と変わらぬ年代の女性が、レジ袋に草を沢山積めて持って来ていた。 殺害された被害者女性は、それを受け取ると。
“奥さん、これだけじゃ~代金分にも成らないわよ。 ほら、向こうにお客さまが来てるのよ、体で代金分を稼いでいきなさいよ”
リビングのソファーベッドを指差す。 其処には、カタギとは見えぬ姿の男性が居た。 既に全裸でいて、ニヤニヤしながら草を持って来た女性を眺めている。
それに狼狽える女性だが。
“お客さま、殺さなきゃ何をしてもいいから、存分に楽しんで頂戴”
殺害された被害者女性は、まるで人を人と思わない素振りにして言い切った。
フラフラしながらも、玄関の方に向いた女性だが。 全裸の男性に掴まり、ソファーベッドの方に引き摺られて行く。 絨毯の上まで引き摺った男性は女性に覆い被さり、女性の衣服を強引に脱がし始めた。
また、若者の思念も有る。
“姐さん、これで借金をチャラにしてよ。 もう稼げないって!”
二十歳前後の茶髪にジャージ姿の若者が、密封されたジッパー付きのビニールに入ったものを被害者女性へ出す。 だが、被害者女性は若者の髪の毛を片手で鷲掴みにし。
“甘いことを言うんじゃない。 アンタ、誰の金に手を付けたと思ってる? ふざけた事を言うと、家族もろとも死体にするよ”
その物言いには、普通の女性にしては無い冷酷さが伺える。
若者の髪の毛を投げる様に放す被害者女性は、スマホを片手に。
“自分の不始末を帳消しにしたいなら、原料の持ち込みを続けるか、金に成る女でも連れて来て。 悪いけど、そう簡単には許さないよ”
と。
(“原料”、・・ね)
何の原料かは解らないが、どう見ても良いモノの原料では無さそうだ。
其処へ、完全に亡くなった者の霊が歩いて来た。 まだ若い女性で、顔色も悪ければ薬物の末期症状の様な顔をしている。
『クスリ・・・・クスリを…』
彷徨っている様だ。
最初のコメントを投稿しよう!