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『龍哉……。けど、もしも東條の連中に知られたらどうすんだよ。せめて俺の仕事が終わるまで待て。それならまだ、何かあっても俺の責任だって押し通せる』
「そんな悠長なこと言って、それでもしも柚斗くんの身に何かあったら、それこそ兄さんは今よりもっと後悔するじゃないか」
『………』
まるで自ら『ガラクタ』だと周囲に言い聞かせるようにだらしなく振る舞っているけれど、本当は面倒見の良いお人好し。それが、龍哉が幼い頃からずっと見てきた卓巳という人間だ。
弟として、そんな兄の力になりたいと思って、何が悪い。
「兄さん、まだ仕事あるんでしょ。兄さんが僕を庇ってくれた分、絶対に僕も、柚斗くんを探し出すから」
『……俺も、この後の営業終わったら、何とか直帰出来るようにする。だから龍哉。……柚斗のこと、頼む』
「確かに、任されたよ」
卓巳との通話を終えて、龍哉は再び柚斗の位置情報を確認する。柚斗の居場所は、先ほど見た位置から変わっていない。
これ以上柚斗が移動してしまう前に、何とか彼の元へ辿り着きたい一心で、龍哉は携帯を助手席に置くと、柚斗の居る住宅地を目指してアクセルを踏み込んだ。
目的地付近にあった小さなコインパーキングに車を停め、龍哉は携帯を片手に運転席から降りた。
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