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第七話
龍哉に連れられて、柚斗は卓巳が暮らしているのだという建物までやって来た。
造りは先ほどまで女性と居た建物とよく似ていて、二階建てでどちらの階にも扉がいくつも並んでいたが、こちらの建物はまだ新しいのか、随分と小綺麗だった。
車から降ろされた柚斗は、龍哉に支えてもらいながら、力の入らない足を引き摺るようにして何とか階段を上がる。
女性に渡された抑制剤を飲んだ直後は、身体の火照りも少し治まっていたのに、龍哉と二人きりになってからは全身がまたじわじわと熱を帯び始めていた。
「………ッ」
蔵に父がやって来たときのように、身体が勝手に龍哉を求めてしまいそうで、堪えるように柚斗は必死に唇を噛む。それに気付いた龍哉が、困ったように小さく息を吐いた。
「ごめん、僕が傍に居ると辛いよね」
「……いえ……龍哉さん、助けに来てくれたのに……自分の身体が、どうなってるのか、わからなくて……」
「Ωの発情は特にαを強く誘うから、αの僕と居ると、本能的に君の身体が反応するんだよ」
ということは、同じように柚斗が反応してしまった父もまた、αなのだろうか。
「……卓巳さんも、α……なんですか?」
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