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「でも……俺に関わった人は、みんな、苦しそうです……。俺が、Ωだから……?」
身体の火照りに息を切らせながら問い掛ける柚斗に、「苦しそうなのは君だよ」と苦笑して、龍哉が柚斗の身体を担ぐようにしながら、部屋の奥にある扉を開け、ベッドのある部屋まで運んでくれた。勝手に使って良いのかと思うより先に、部屋の中央に置かれたベッドへ半ば強引に横たえられる。
ボフッ、と柚斗の身体がベッドに沈んだ瞬間、微かに卓巳の匂いがして、柚斗は無意識に熱い息を零した。
そんな柚斗の頭に一瞬手を伸ばしかけた龍哉が、苦笑交じりにその手をそっと引っ込めた。
「君が触れられたいのは、僕じゃないよね。……でもこれだけは覚えておいて。君がΩに生まれたことは、何も悪いことじゃないよ。だから、そんなに自分を責める必要なんかない」
言いながら、龍哉がこの部屋の床にも散らばっている衣服や雑誌を、一つ一つ拾い上げていく。
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