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「ごめん、なさい……ごめんなさい……ッ」
何度も謝罪を繰り返しながらも、卓巳に縋りつかずに居られない柚斗の唇が、不意に何かに塞がれた。それが卓巳の唇だと気付いたのは、何秒か経ってから。そしてその行為がキスだとわかったときには、卓巳の舌が柚斗の咥内に滑り込んでいた。
「ん……っ」
舌を絡め取られただけで、頭からつま先へ電気が走ったみたいに、ビリビリと痺れるような感覚が全身を駆け抜ける。柚斗の意思が働くよりも先に、勝手に反応してしまう自身の身体の変化が怖い。
「……っ、俺の身体、どうなってるん、ですか……?」
やっと解放された唇で酸素を求めながら、不安に揺れる瞳で卓巳を見上げる。その間にも、柚斗の身体は更なる刺激を卓巳に求めて、浅ましく震えていた。
「お前がおかしくなったワケじゃねぇよ。Ωなら、発情期が来たら誰でも必ずこうなる」
「……怖くて仕方ないのに、卓巳さんにもっと……もっと触って欲しいって、思ってしまうんです……っ」
悲痛な声で訴える柚斗の両手が、卓巳の手によって強くシーツに縫い留められる。真上から柚斗を見下ろす卓巳の顔は、初めて見る大人の雄の顔をしていた。
ゾク…、と恐怖とは違う何かが、柚斗の背を這い上がる。
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