エピローグ

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 だからこの別荘に来てからというもの、柚斗は日々色んな料理を作ってみたり、天気が良ければ服やタオルやシーツなどを思う存分洗濯したり、上機嫌で掃除機をかけたりと、いつも楽しそうに家事をこなしてくれている。引っ越してきたことで卓巳の通勤時間は少し長くなってしまったのだが、毎日そうして柚斗が家事を請け負ってくれるお陰で、部屋が散らかることもすっかり無くなった。  そして、二人で暮らすことを選んだ最大の理由はというと…──── 「……柚斗」  猫のように、洗濯物の山に埋もれてゴロゴロしている柚斗にソファから声を掛ける。ピクリと身を起こした柚斗が、誘われるように卓巳の元へやって来た。  片手をその腰に回し、もう一方の手で柚斗の手首を捕らえて引き寄せると、柚斗は素直に卓巳の膝の上へ乗っかった。  外へ自由に出歩けるようになっても、体質なのかあまり日に焼けない柚斗の白い頬へ掌を宛がう。卓巳の欲求を敏感に察知した柚斗が、項へ腕を絡めてきて、どちらからともなく唇を重ねる。  不慣れな頃は毎回泣きながら卓巳に縋りつくばかりだった柚斗も、今では卓巳の誘いに上手く甘える色気が身についていた。さすがにこういう行為は、幾ら龍馬や龍哉がある程度察してくれていたとはいえ、なかなか家族と同じ屋根の下ではやり辛い。 「……まだ、洗濯物畳んでませんよ」 「知ってる」  言いながら柚斗のシャツの中へ手を滑り込ませる卓巳に、柚斗が観念したように吐息を零す。そのまま柚斗の身体からシャツを奪い去って、卓巳は裸の腰を抱え直すと「なあ柚斗」と目の前の顔を見上げた。     
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