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お母さんはどんな人?
お母さんに関する一番初めの記憶はいつだろう。幼稚園か小学校低学年の頃の記憶だと思う。とあるバラエティー法律番組で離婚について扱っていたのは覚えてる。
その頃はまだ、表面上は平和だった気がする。母があの当時は狂っていて。私の体、服で隠れる部分には痣やコブが沢山あった。
「渚に何をしたのかわかってるのか?」
「私はただ『しつけ』をしただけよ」
「いいか? 次に渚に手を出したら離婚だからな」
当時の両親の会話は、今でもはっきり覚えてる。この後に父は私に訊ねてきた。バラバラに暮らしたいか、一緒に暮らしたいか。バラバラになるなら私は父に引き取られる、と。
「離れたくないよ。おばあちゃんとおじいちゃん、好きだもん。パパ、あまり家にいないもん」
「…………わかった。ママ、十年だ。十年待つ。義務教育を終えるまでにお前の態度が変わらなければ、その時は離婚だ」
この時の父はまだまともだった。今からは想像も出来ないほどに。この時に選択していれば、私はお母さんともう少し上手くいっていたのだろうか。
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