死にたがり魔女と弟子

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深夜0時。静寂が世界を支配する時間。 薔薇の花を散りばめた部屋の真ん中には丸テーブルがあり、その上には小さな小瓶が置かれている。 漆黒のドレスに身を包んだ魔女はゆっくりと部屋を横切る。 他に動くものは何もない。何者も、彼女の邪魔をするものはない。薔薇の香りに満たされながら、魔女は小瓶を手に取った。その中の液体は体内に取り込まれた瞬間どんな生き物をも殺すだろう。魔女はそのことを知っている。知っていながら、小瓶を口許に運ぶ。あぁ、これで、長い長い人生がようやく終わる……。 「さ、せ、る、かぁぁぁぁっ」 突如、声が響き渡った。 続けて、ガラスの割れる音。気づけば手の中の小瓶が消えている。 静寂は予期せぬ介入によって破られた。
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